| レポート：やんぷぅフロム杜の都 |
 12/27、2002年最後のスピッツのライブに行ってきました。まず最初に書きます。今回のライブは素晴らしかった。 しかし、最高のライブではなかった。 それは様々な要因があるのだが、順に書いていくことにします。 「スピッツに捨て曲なしの法則」僕は好きなバンドがたくさんあるが、大抵どのバンドにも、 どのアルバムにも捨て曲というものは存在する。 捨て曲と書くといかにも最悪な感じがするが、ここでは、まぁ、 「大してよくない曲」くらいの解釈をしていただきたい。 例えば、4回アルバムを聴いたあと、5回目にはとばしてしまう曲の ことである。もちろん、これは各自で異なるわけだが。 スピッツにはこの、捨て曲がない、と個人的には思う。 どのアルバムを聴いても、どの曲聴いても少なくとも平均点、 60点は上回っていると思う。もちろん、80点の曲も、90点の曲もある。 「好きなバンド」とは、点数が高い曲が多いバンドのことである。 曲に点数を付けるなんて！と憤慨される方もいるかもしれないが、 これは「好き度数」と考えてもらえばよい。ものすごく好きな曲は97点、 結構好きな曲は85点。スピッツに限らず、みなさんそれぞれそんな感じで、 自分の好きなバンドの曲に対する思いがあると思う。 スピッツはコンスタントに高い点数をたたき出す。だから素晴らしいのだ。 つまり、「捨て曲なし」なのである。 そして、ライブにおいて、その名曲たちをきちんと再現できる。 ここが素晴らしい。いい曲をたくさん持ってるのにライブはイマイチな バンドが結構いるのにもかかわらずだ。 つまり、「スピッツに捨てライブなし」なのである。 前置きが長くなってしまったが、今回の感想を書くことにする。基本的に、場所が悪かった。自分のいた場所である。 前から4、5列目。「そんなに前なのに？！」とまた憤慨する方も いらっしゃるでしょう。そんな方々へ。 僕にとって、スピッツは、後ろで曲を聴くバンドである。 前で、顔を見るバンドではない。 以前からそう思っていたのだが、今回のライブでそれを確信した。 これからは、前に行ってもせいぜい会場の真ん中くらいであろう。 なるべく会場全体を見渡せる、かと言って別世界になりすぎない （一番後ろなどはちょっと「他人」的な感じが強すぎる。ゲストではなく、 あくまでオーディエンスでありたいから） 場所で観る事にします。 何も、前へ行く人を否定するつもりは全くない。同じお金を払っているのだし、 好きなミュージシャンの曲も聴きたい、顔も近くで観たい、 前で盛り上がりたい、という気持ちは大切だと思う。 僕も、観るバンドによっては、ぜひとも前でみんなといっしょに 両腕を上げて盛り上がりたいと思うし、前でじっくり楽器のプレイを 観たいとも思う。 しかし、スピッツは違う。 素晴らしい曲たちを素晴らしいライブアンサンブルで聴かせるバンド。 曲が良すぎるのである。 僕はスピッツに過剰な盛り上がりなど求めていない。 「メモリーズ・カスタム」も「エスカルゴ」もライブにはうってつけの曲ではあるが、 それでも僕にとっては両腕を振り上げるというよりは、 ちょっと身体を横に揺らすくらいの、それくらいの感じで聴いていたいのです。 だからこそ、後ろで曲を聴き、曲にひたりながら、笑顔になりたいのである。 そして、テツヤのマーシャルのまん前だったため、ギターの生音が ガンガン聴こえて、全体のバランス、特に「けもの道」「ハヤブサ」といった ギター全開の曲ではボーカルがほとんど聴こえなかった。残念。 また、前の方はみんながみんな、大合唱なので、マサムネの声が よく聴こえない。これも、大合唱を否定する気は全くない。 どうしてって、僕も歌うから。これについては、ライブの楽しみ方は 人に迷惑をかけなければ何してもいいと思うので、僕がとやかく 言う事ではない。なので、僕は次回からはそそくさと後ろに下がります。 後ろの方は歌ってる人ってあんまりいないからね。 僕はスピッツなら、ライブに行って、2時間後ろを向いて、曲だけを 聴いて、\4600払ってもいいと思っている。 実際に以前のライブで、何曲かで目をつぶって、耳だけを 頼りに曲を聴いたことがある。目をつぶっているのに、たくさんの 風景が浮かんできた。同時に涙も浮かんできた。 隣のお姉さんが「大丈夫ですか？」と心配そうに聞いてきた。 「お姉さん、ありがとう。「猫になりたい」が とんでもないほどにいい曲なのです。僕はこの曲を聴くと必ず泣いて しまうのです。」と応えたかったが、 僕は「はい」としか言えなかった。泣いてたからね。 話が横道にそれたが、まずそれが「最高」でなかった一つの原因。 そして、二つ目の原因。それは「選曲」です。 スピッツよ、もう「俺のすべて」はいいではないか。 この一言に尽きます。そんなにいい曲かなぁ、この曲。 好きな人には、本当にごめんなさい。 僕が思うに音楽って友達だし、食べ物だから、 人にとやかく言われたくないのってわかる。 誰かが嫌いな人だって、自分が好きだから、友達でいるわけだよね。 それと同じで誰かが嫌いな曲でも自分は好きだったら、 それでいいわけだよね。 でも・・・・・・・・・・もういいんじゃないかと思う。 本当に、本当に個人的な意見で申し訳ないが、この曲を演るのなら スピッツには、他に演る曲がいくらでもあるのではないか。 実は、今回のレポートは、ライブ中からすでに考えていて、 「スパイダー」を聴いたあたりで、 「最近の定番曲である、「俺のすべて」「空も飛べるはず」などを けずり、「僕の天使マリ」「名前をつけてやる」といった初期の名曲を 復活させ、久しぶりの「ヒバリのこころ」で15周年に区切りをつけ・・・」 などという感じで書こうと思っていた。 定番曲、演っちゃってるじゃーん。 「あの曲、演ってくれたらいいな」とお客さんに思われるのと、 「あの曲、もう何度も聴いてるからなぁ。また演るのかな」と思われるのは 雲泥の差である。 「空も飛べるはず」はスピッツの中でも、ベスト5には入る名曲だと思うし、 「俺のすべて」は好きな人が多く、かなりの盛り上がりを見せることからも 演ってくれることを期待してる人が多いのもわかる。 「ロビンソン」からスピッツを聴き始めた、という人がやはり多く、 この曲も外しにくいのもわかる。 しかし、しかし、それでも！ 『フェイクファー』から一曲も演らないというのはどういうことでしょう。 スピッツのアルバムの中でもかなりの名曲揃いのアルバムだと思うのだが。 僕が行かなかった仙台初日では「バニーガール」を演ったらしいが、 （今のところ、今回のツアーではこの日のみの演奏。うらやましい。 27日のメモリーズ・カスタムもこの日のみ。仙台、うれしいぞ） 『インディゴ地平線』も基本的には冷遇されているように思う。 スピッツは、新しいアルバムから、ほとんど全曲演るバンドなので、 その他の曲でたくさんの人を満足させるということは、とても難しいと 思うけど、がんばってほしいです。 全てのミュージシャンに言えることだけど、初めて来る人が聴きたい曲を 選ぶのも大切だけど、何度も来てる人にも少しだけ配慮してくれると もっといいライブになると思うことがいっぱいあります。 欲を言い過ぎかな。スピッツの場合、かなり配慮はあるんだけどね。 今回だったら、前述の両方の人をを満足させうる曲であろう、「スパイダー」を 入れたりしてるからね。 理想は、アルバムのツアーではないライブをする、スピッツ。 どの曲が飛び出すかわからないライブを、イベントじゃなくて、 ツアーでやってください。スピッツって、少なくともここ6年くらいは アルバムのプロモーションじゃないツアーってやってないよね？ チクチクささる意見ばかりだとよくないから、よかったことも書きます。『三日月ロック』のまんまのライブの世界でした。 今回、アルバムが、奥行きがあるというか、広がったというか、 そういう音の作りになっていたと思います。 それをライブでも体現していたと 思います。もちろんニューアルバム以外の曲でもね。 特に「ヒバリのこころ」はものすごく大きな感じに聴こえました。 もともと、スケールの大きな曲ですが、優しく包みこむような感じがしたよ。 「ハネモノ」「ババロア」など打ち込みを使った曲でもしっかり4人が主張 していて、観ていて心地よい緊張感が伝わってきました。 ハイライトは、そうだなぁ。。。「けもの道」かなぁ。 スピッツというバンドがどれだけ、よい状況に置かれているかが、 よくわかる曲、演奏、雰囲気でした。マサムネにしては、 「もう二度と君を離さない」とやけに力強いフレーズを伴ったこの曲は、 ライブの本編最後にふさわしく、まさに「あきらないで」進んでいこうと いう気にさせてくれました。これからもスピッツは、僕らとともに歩んで 行くんだなと(勝手ながら）思わせてくれる一曲でした。 今回のライブのよかったところですか？ それはみんなの胸の中の方がよくわかっているでしょう。 ハッピーになった人いっぱいいたでしょう。ライブ後の顔を見れば わかります。 スピッツ、大好きですよ。世界一好きなバンドはスピッツ。 これは変わらない。好きだからこそ、言いたいことはいっぱいある。 みなさん、友達や恋人、大好きだからこそ、いろんなこと話したいでしょ？ 僕らは直接スピッツと話すことはできないけど、曲という元気を もらっています。僕は、これからも、もっともっといい曲をたくさん作って、 もっともっといいライブをたくさんやってほしいから、ほんのちょっとだけ、 意見も言います。好きだからね。 矛盾するけど、多分、「最高のライブ」って体験できないと思うんです。 でも、今回よりは少しでも満足できるライブに、次にスピッツを観るときは そうであってほしいです。 でも、何の心配もしてないけどね。 だって、スピッツって、期待を裏切ったことってないもん。 大好き。ほんとに。 追伸：本文中、読んでくれた方の気分を害する表現があったかも しれません。また、矛盾する部分、よくわからない部分も多々あったと 思います。稚拙な文でごめんなさい。しつこいですが、好きだからこその 意見ですので。僕に対してのご意見、ご感想お待ちしています。 |
| やんぷぅフロム杜の都さん、レポートありがとう！ |